視覚障害者のホント
社会のなかで
働く・学ぶ

社会のなかで<br />働く・学ぶ
ひとりひとりが目標へ向けて、精力的に行動しています。

通勤・通学

通勤・通学

視覚障害者は、会社や学校までひとりで通えない?
いえいえ。訓練すれば、ひとりでも大丈夫なんです!

みなさんも通勤や通学をする際は、基本的に毎日、決まったルートを歩きますよね。こういった会社や学校といった特定の場所であれば、視覚障害者であってもひとりで通うことができます。もちろん一定期間をかけた歩行訓練は必要です。歩行訓練士の許可がでるまで、道順や駅などの施設をしっかり覚えていきます。

残念ながら、現状ではまだたくさんの企業が「視覚障害者はひとりで安全に通勤できない」と考えているようです。一社でも多く、視覚障害者の正しい実情を知っていただきたいものです。

そのためには、視覚障害者の声をもっと届けなくてはいけませんよね。人事担当者や産業医をはじめ、サポーターの方々、そしてこれをお読みになっている皆さん、ぜひ適切な情報提供をお願いします。

音声パソコン

請求書・案内状・企画書だって作れちゃう!
パソコンが得意なオフィスのプロも、増えています。

「視覚障害者がパソコンを操作する」と聞くと、どうやって?と不思議に思いませんか。その答えのひとつが音声パソコンです。と言っても、ほとんど皆さんが使用する市販のパソコンと変わりません。視覚障害者用の専門ソフトをインストールしたものをこう呼んでいるのです。

現在は打ち込んだ文字を読み上げてくれたり、マウスではなくキーボードで操作するための音声案内が流れたりと、いろいろなソフトが販売されています。こうしたデジタル機器の登場により、知りたい情報を視覚障害者自身の手で調べることが可能となりました。

そして、音声パソコンの操作を習得すれば、エクセルやワード、パワーポイントを扱う事務仕事もできるようになったのです。おかげで視覚障害者の活躍できる場所がぐっと増えています。生きがいをもって働くためにも、視覚障害者にとって音声パソコンはとても重要なスキルのひとつです。

タブレット

タブレット

見えない・見えにくいからこそ!
スマホ&タブレット端末は、視覚障害者の必須アイテム。

いまや、ほとんどの人が持っているスマートフォンやタブレット端末。こういった情報機器の登場で、視覚障害者の生活が大きく変わろうとしています。

たとえば細かいものが見えづらい人の場合、写真を撮影すれば拡大器として使えます。大きな文字で手書きしてから縮小できるので、分厚いノートを何冊も持ち運ぶ必要もありません。色弱の人向けアプリも開発されています。もちろん、音声操作は視覚障害者にとって便利な機能です。

そして、スマートフォンやタブレット端末を持っていれば、どこかへ行きたい、なにかを調べたいと思ったとき、とても楽に行動できるようになりました。10年前と比較してみると、視覚障害者がより社会とつながりやすくなったと思います。

こうした情報端末は、新しいコミュニケーションツールとしてますます価値が高まるでしょう。テクノロジーのさらなる進歩に期待したいですね。

盲学校

盲学校

60代の学生さんも通っています。
生涯、学ぶよろこびと出会える、盲学校のススメ。

盲学校は全盲の人、先天性の人だけの学校ではありません。見えにくい人、中途視覚障害の人も入学できます。幼稚部、小学部、中等部、高等部、そして何歳になっても入学できる専修部(理療科など)があり、幅広い年齢層が通っているのです。

学習方法や教材は生徒ひとりひとりの視覚に合わせ様々です。拡大文字の教科書、拡大読書機、点字などから、一番無理のない学習スタイルで学ぶことができます。実は1学年の人数が普通校と比べると少ないため、指導が行き届いているというメリットもあるのですよ。

あまり知られてないですが、普通校に通いながら、盲学校で定期的に相談や学習(補習)を受けることも可能です。たとえば、スポーツが苦手なため盲学校で練習し、できるようになってから普通校で体育の授業を受ける、という生徒さんがいます。見えないこと・見えにくいことを自覚して練習すれば、恐怖心を取り除きコツをつかめるようになるのです。

これは体育に限ったことではありません。盲学校で文字を読み書きする補助器具の使い方を習ったり、自分に一番あった勉強法を教えてもらってから、普通校で学ぶこともできます。同じ方法で学習を継続できるよう、盲学校と普通校の先生が情報を共有しています。

特別支援学校

特別支援学校

視覚障害者の学びをサポート。
【全国版】全盲学校住所録

視覚障害者の学びを支える特別支援学校は、全国の各都道府県に設けられています。
お困りの際や、相談がある際は、お住まいの地域の学校へお問い合わせください。

全盲学校住所録

仕事

仕事

障害だって、その人の武器になる!
未来志向の働きかた、はじまっています。

これまで、視覚障害者をはじめとした障害者を雇用する企業は、「障害者は健常者と比べて、できないことがある」という考えが主流でした。もちろん、これは間違いではありません。補助具を使ったり、作業量・時間をおさえたりすることで、障害者にとって働きやすい環境を整えることができます。

その一方で、バリアバリューという考え方が出てきたのです。これは「障害もふくめ、その人の個性を弱点ではなく強みとして捉えよう」というまったく新しい考え方です。どんなものか、ちょっとワクワクしませんか?

このバリアバリューを軸に職能開発を行った事例も、さっそく届いています。
ふたつほどご紹介しますね。

ひとつめは視覚障害をもった看護師さんのケースです。従来では、数値データやカルテなどが読みづらいため、どうしても携われる仕事内容に制限がありました。そこへ、ある病院が視覚障害者に情報機器の扱い方を指導する担当者として採用してみたのです。そうしたところ、自身が日常的に使用している道具だからこそ、きめ細やかにサポートでき、まさに弱みを強みに転換できました。

次はさらに発想の進んだ事例です。企業のリラクゼーションルームで、従業員のストレスケアを担当する視覚障害者の社員。残念な現状ではありますが、視覚障害者はときに心ない言葉をかけられたり、生活の中で我慢が必要なことも少なくありません。こちらの企業では、こうした経験を人の悩みや苦しみに対して理解力・共感力が高いと捉えました。そして、マッサージもしつつ、社員のカウンセリングも行うストレスケアの窓口として仕事の幅を広げたのです。

バリアバリューがもっと浸透すれば、視覚障害者がこれまでなかった働き方が生まれるでしょう。ひとりひとりの能力を最大限に引き出せる、そんな社会をめざして、企業だけでなく私たちも新しい価値や可能性を見つけていきましょう。