視覚障害者のホント
人生を楽しむ

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たくさんの人が、趣味や生きがいを持って日々を過ごしています。

スポーツ

特殊ルールが面白い、視覚障害者のスポーツ事情。
あなたの応援が、次のパラリンピックにつながります!

陸上、野球、バレーボール、卓球、テニス、トライアスロン、スキー、ゴルフ、柔道…さまざまなスポーツをたくさんの視覚障害者が楽しんでいます。ただ、同じ種目でも、みなさんが普段親しんでいるものとちょっと違うところがあるのです。サッカーを例に少し紹介してみましょう。

基本的なルールはフットサルと変わりません。違うのは、まずボールです。見えなくてもどこにあるか分かるよう、転がったら音の鳴るボールを使用します。このボールを蹴り、試合を進めるフィールドプレイヤーが4人。障害により見え方は異なるため、不公平がないよう全員がアイマスクを着用します。つまり、見えない状態で試合するのです。凄いでしょう!

とは言え、このままでは危険なので、コーチとガイド(コーラーという役名です)が各1人つき、ボールや選手の位置を声で指示していきます。最後に守りの要、ゴールキーパーは弱視または晴眼者(視覚に障害のない人)の担当ポジション。合わせて1チーム7人がピッチに立ち、声を掛け合いながらプレーするのです。そして一番大切なこと。選手は音だけが頼りなので、試合中の応援は音を立ててはいけません。これが、「ブラインドサッカー」です。
通常のサッカーとはまた違った面白さのために、アイマスクをつけて参加する晴眼者も増えています。

視覚障害者がひとりで参加できるものもありますが、ご紹介したサッカーや陸上などは、視覚障害者だけではできないスポーツです。また、パラリンピックをめざすくらいの選手になれば、パートナーにも力量が求められます。そのため、スポーツを継続するのが難しく、練習場所も限られるため、視覚障害者のスポーツ環境は整っていると言い切れないのです。

東京パラリンピックも開催されることですし、より多くの優秀な選手を輩出できるよう、様々な取り組みが期待されます。その一歩として、みなさんが視覚障害者のスポーツに関心を持ってくれれば嬉しいです。ブラインドサッカーだけでなく、ほかの種目も面白いですよ!

サロン・集い

サロン・集い

視覚障害者の仲間と、そのご家族が、
本音で語れるサロンがあります。

多くの支援機関や団体で、情報交換を行えるサロン・集会を開催しています。これは視覚障害者だけでなく、その家族や一般の方、医療従事者、福祉関係者、支援者など、様々な立場の方が集まり、自由に会話を楽しみながら交流できるものです。

孤立しがちな視覚障害者にとって、視覚障害は自分ひとりの苦しみ、悲しみだと思ってしまうことがあるそうです。そんなとき、サロンは同じように考えている仲間が大勢いることに気づけるひとつのきっかけとなります。

「困ったことがあるけれど、どうすればいいか分からない」——そんな悩みを一番理解できるのは、同じ視覚障害者です。まったく同じでないとしても、似たような悩みは共通の話題となります。それは視覚障害者だからこそ共有できる「思い」なのかもしれません。何気ない話をしているだけなのに、サロンが終わるころには笑顔があふれ、そしてそんな視覚障害者の姿を見て、視覚障害者の家族も心が安らぐのです。

実は、いつも近くにいる家族だからこそ、視覚障害について受け入れられない、そういった人もいます。複雑な心境をほかの人と共有することは、悩みや苦しみから解放するうえでとても大切なことです。サロンに通うことで「家族が見えないこと・見えにくいことに対して、改めて理解してくれるようになった」という声も届いています。

ほとんどのサロンは、申し込めば誰でも参加できます。お近くの支援機関や団体にお問い合わせください。

読書

人によってスタイルはさまざま。
読書家の視覚障害者もたくさんいます。

視覚障害者用の本は、大きく分けて点字図書と録音図書の2つがあります。視覚障害者は全国にある点字図書館に登録すると、点字図書、録音図書、録音雑誌などを無料で借りることができるのです。

録音図書の場合、最近はデジタルデータ化されたものが多く、インターネットを利用して簡単に読書できるようになりました。デジタルデータならスマートフォンやタブレット端末などに入れて持ち歩けるので、音声を聞くスタイルで電車の中でも読書が可能です。満員電車の中で本を開くのは難しくても、音声を聞くことは比較的簡単ですからね。活字を読んでいたときと比較して、読書量が5倍増えた人もいるそうです。

また、視覚障害者の中には、「読書は点字図書に限る」という人もいます。本の中の世界を想像でき、行間まで読めるそうです。点字を読んでいる人の脳を調べてみると、視覚に関わる領域が活発に活動していることが脳科学者の研究で判明しています。指からの信号のはずなのに、脳は目からの信号と認識しているなんて、人間の身体は不思議ですね。