コンテスト
受賞事例

【就労事例部門】MIP賞
拝上 誠

「人の役に立ちたい」と消防士に。
その気持ちは今も変わらない。

 消防士になって22年が経った2015年4月、通信指令課に配属されると同時に網膜色素変性の診断を受けました。以来、2年が経ちますが、同僚や上司の協力を得ながら勤務を続けています。
 例えば、当消防本部は、コンピュータ制御の通信指令システムを導入し、地図検索装置や自動出動装置によって災害現場へ車両を迅速に出動させることができますが、私はモニター上の地図やマウスポインターが見えにくいため、119番通報の内容を聴取する役目を担い、同時に隣にいる同僚がシステムを操作するという方法で業務しています。通報内容の聴取や口頭指導の良し悪しで災害が最小限で収まったり、大切な命が助かったりする重要な任務にやりがいを感じています。
 ただ、病気は徐々に進行しています。「人の役に立ちたい」という思いから消防士になった私ですが、今は逆の立場になることもしばしば。ただ、視覚障害があっても「人の役に立ちたい」という気持ちは変わらず持ち続け、与えられた業務を日々、全力で行っています。
 家では子どもたちが、ものを取ってくれたり、「大丈夫?」と声をかけてくれたり…。些細なことですが幸せな気持ちになれます。いつか子どもたちが大人になり、私もおじいちゃんになって孫を抱くまで、家族の笑顔をこの目で見るのが夢です。長い闘いではありますが、頑張ります。

審査員コメント

消防の現場で視覚障害がある方が働いているとは想像もしませんでした。しかも、窓口での業務ではなく、人命を救うために迅速、かつ適切な対応が求められ、高度な判断や調整が必要とされる職務を任され、活躍されていることを大いに評価したいです。これからもぜひ、就労を継続していただきたいと強く願います。
拝上 誠(消防士)

拝上 誠(消防士)
1993年島根県の浜田那賀消防組合(現・浜田市消防本部)に就職。2003年救急救命士資格取得。15年網膜色素変性診断。同年4月から通信指令課勤務。妻と3人の子どもと暮らしながら、24時間体制で119番通報の対応に備える日々。