コンテスト
受賞事例

【就労事例部門】MSP賞④
阿部 久
鮮魚卸会社経営

「見えないなりの進み方がある。失明と震災を乗り越えながら、鮮魚卸会社を経営。」

青森市で魚の卸売業を営んでいましたが、約20年前に網膜色素変性症を患い、失明しました。そんな中でも諦めず、念願であるふるさとの石巻市に支店を設けることができました。魚体の張り、ぬめりなど手の感覚を集中させて魚に触れることで鮮度を選別しながら会社を経営。しかし、東日本大震災の津波で石巻の自宅と工場を失い、仮設住宅に入居。会社の売上も半減。失意のどん底に陥ったが、2年後、北海道釧路市のイワシを目にして、再びイワシへの情熱が湧き上がりました。2014年には釧路市に隣接する白糠町にも支店を開設。約15名の従業員を雇い、順調な経営を続けています。漁師とも積極的にコミュニケーションを取り、イワシの鮮魚としての価値を高められるように漁業協会との橋渡し役を務めています。また、許可を得て船に乗り、イワシの鮮度の保ち方や漁法を指導するなど漁師との信頼関係も築いています。見えないなりの進み方があり、ぶつかってみないとわからないこともたくさんあります。本気で学べば、誰でもできるはず。これからも復興をスローがンに、イワシのニーズを高めていけるよう精力的に活動します。

審査員コメント

魚の鮮度は眼の色や艶を見て判別しますが、それを手の感触だけで見極め、さらにはその能力で卸会社を経営され、被災後も不屈の精神で会社を発展されていることにとても驚かされます。鍼灸マッサージは触覚の優れた視覚障害者に適した職業と言われますが、さまざまな業種に視覚障害者が関わり、活躍できるのではと大きな可能性を感じさせられました。
阿部久

阿部 久 鮮魚卸会社経営
青森市でイワシなどの鮮魚卸売業を経営していたが、46歳頃に網膜色素変性と判明し失明。東日本大震災で被災し、石巻の自宅と工場を失うも、北海道釧路地区の白糠町に支店を設立。現在、青森の本店を拠点に約30名の従業員とともに、鮮魚出荷の卸売業とイワシ漁を広める活動を続けている。